2014年10月27日



 「ダウン・バイ・ロー」を観たらエンドロールでトム・ウェイツのtango till they're soreが流れてきてすごく格好良かった。初主演映画だったのか。知らなかった。トム・ウェイツを初めて知ったのは映画の中で、「smoke」というめちゃくちゃ良い映画のめちゃくちゃ良いラストシーンで使われていたのだった。Innocent when you dreamという歌。ボロボロに泣きながら、なんだこの格好いい音楽と今にも死にそうな歌声は、と思ったのを覚えている。年を取るごとに作る音楽が若返っていくという変な人。セルジュ・ゲンズブールもそうだけど、こういう鳴ってる音が少なくて遊び心あるおっさんが歌っている音楽が好きだな。

2014年10月25日

 ミヒャエル・ハネケ「ピアニスト」を観た。わたしにとって切実な問題の一つが母殺しなので、非常に興味深い内容だった。

 厳格な母親のもと、異性との交際も含めすべてを捨ててピアノだけに打ち込んできたヒロインは、精神的には完全な男である。クラシック界のマチズモ的な制度が、彼女の欲望を規定しているのだ。彼女は男として、ポルノ・ショップの個室を利用する。男女のカーセックスを覗いていた彼女が、興奮して放尿するのは射精の代用行為である。彼女は自分の肉体を嫌悪し、密かに傷つけるが、母親がそれを生理と誤解するエピソードは、もはや皮肉を通り越している。

http://c-cross.cside2.com/html/a10hi005.htm
 生活全体を蝕んでいた一つの問題が解決した。解決はしていないかも知れないけれど、そうあるべき未来に繋がった。選択肢は常に「はい」と「いいえ」の二つある。大雑把に言って、未来には「そうなること」と「そうならないこと」の二つがある。しかしそれは理屈の、言葉の上での話だ。わたしは現在に対して二つの選択肢を用意した。未来はわたしに対して二つの選択肢を与えた。そのつもりだった。しかし実際想定出来る未来は、たった一つだった。だから選ぶことも選ばせることも出来なかった。これで良かったのだろうかと悩むことも出来なかった。未来にはこの姿しかあり得ないからだ。希望も絶望も、すべて違う世界の話になってしまった。わたしはこの事実を背に、一生罪を贖わねばならない。

2014年10月20日

 何もかもうまくいかなくて訳分からなくなっていたらいつの間にか病院のベッドで寝ていた。一昨日。昨日安静にして今日すぐ家に帰った。iPhoneもいつの間にか水浸しになっていて壊れていた。何もかも覚えているけれど何もかも忘れたということに、しようと思った。さっき恋人に泣きながら電話を掛けたら「おまえはおかしいよ」と言われた。5回くらい。本当に相手にして欲しい人は相手にしてくれなくて、なんかよく分からない男がもっと話したいですなどと執拗に言ってくる。話すってなにをだよ。趣味が合うってだからなんだよ。服とか音楽の話してなにが楽しいの?趣味が合うと性格も合うの?頭おかしいんじゃないのおまえ。あれ、この言葉どっかで聞いたなあ。ってさっき恋人に言われた言葉か。ということはおかしいのは、頭おかしいのは、わたしなのか。ゲー。たまんないな。
 と考えていた。ということをブログに書いている。言語化するってことは客観化するってことなんだからもう、ぜんぜん、大丈夫。こういうことって大人になったら無くなると思ってたんだけど、わたし最近結構大人みたいに振る舞えていたのに、結局こうなの?結局一生自分のこういう気分と付き合っていかなきゃいけないの?誰かもっといいところに連れて行って欲しい。何もかも今よりはマシだと思えるところ。どうしてこんなふうになってしまったんだ。こんなところで終わらせたくないよ。長生きしてハワイでゴールデンレトリバー飼いたい。でも日焼けしたくないからやっぱいいや。でも長生きしたい。それは本当だよ。

2014年10月5日

9月観た映画
・けものがれ、俺らの猿と
・ラスト・タンゴ・イン・パリ
・グラン・トリノ
・菊次郎の夏
・特別な一日
・コックと泥棒、その妻と愛人