2014年9月25日

 全然単位取れていなくて後期も普通に週4で授業だ。最悪だ。狂っている。4年生になったら大学に通わなくていいと聞いていたから安楽な気持ちでこれまでの大学生活を営んできたというのに、なんだこの有様は。虚偽だ。不条理だ。ぐうの音。しかしわたしは楽観的な人間だので、これを機に早寝早起き出来るようになろうと思い立ち、水曜日と木曜日は1限から授業を入れた。木曜日に至っては1、2、3と来て5限だ。昨日水曜日は朝、人が遠くの島へ旅立つからそれを見送るので大学には行かなかった。ヨシ今日はすこし早めに出てカフェーで珈琲飲み飲み本も読み、みたいな朝を迎えようと思ったのに生憎の雨。というかそもそもぎりぎりの時間に起きて駄目だった。眠さのウルトラヴァイオレンスに耐えながら、授業にはなんとか間に合った。間に合ったというか10分くらい遅れたけど、まあ間に合っただろう。これは。どうネガティヴに考えても。そして自分は1限に間に合うだけの能力を持っているのだ。ということが事実上証明されたので、安心してその後の授業をサボタージュ、貰ったお給金を洋服に変えてにこにこしながら一瞬の晴れ間に帰宅。明日は涼しいといいなと思う。

2014年9月18日

 肌が汚くなるから早く寝ようと寝床にもぐる。昼寝したから眠れやしないし男とか女とか親とか金とかそんなことが頭の中で渦巻いて輾転反側。余計眠れなくなってスマートフォン開いてブルーライトで目が痛い。余計眠れなくなる。肌が、眠れないし、ストレス。精神的負荷が。明日ていうか今日朝起きたら映画観ようかな、と思っていまやっている映画調べてみたけど面白そうなのあんま無い。面白そうなの全部人と観る約束しちゃったし。てべつに観に行けばいいんだけど。2回。なんだかこの上後ろめたい気持ち感じたくない。これが、わたしのここまでを表しているよね。人間としての限度を。人間性の限界を。そんなものを。人との約束破ってその人傷つけたくない、じゃなくて後ろめたい気持ち感じたくない、ていう自己本位なのがさ。たまらなく嫌になっちゃうよね。でも実際そうだし嘘ついてなんになる、とも思う。言わなくていいことを言うのはやめたけど、言わなくていいことを書くのはやめられない。偽悪が倍になっていく。いつかアニメみたいにさ、雪の坂道を転がり落ちていく身体が丸い雪の着ぐるみ着てるみたいに転がり落ちれば落ちるに従ってどんどん膨らんでいくんだ。偽悪がそうやって増加していってもうわたしの手に負えない。

 へんな時間に寝て起きて部屋を出ると真っ暗。家族は全員寝ている。電気をつけると食卓に、ラップを張った皿。白米、ポテトサラダ、ニラレバ、漬物。ラップに水気がとんですこし白い気泡がくっついていて、取り残された皿は冷たい音を立てている。じーん。取り残された皿はわたし。何故ならわたしはいますぐにはもう、眠ることが出来ないから。みんないつの間にか明日の中に片足つっこんでいて、眠っていてさ、安らかに、一方わたしだけ今日に取り残されている。今日の夕飯。みんなにとっての昨日の夕飯。わたしが食べなかった今日の昨日の夕飯が食卓で冷めていく。冷めていっている。好きなわたしの彼に電話を掛けようと思ったけど彼は電話を、おやすみモードにしているから、出ないんだよ。じーん。こうしている間にも夕飯は冷めていって、容赦なく冷めていって、じーん、わたしの目は覚めていって、容赦なく覚めていく、じーん。うるさい。皿から音が。嫌だから耳をふさいで目を閉じた、ぎゅっと強く、覚める目を閉じた。足元がごとごと揺れていま居るこの部屋が宙に浮いて、夜空に吸い込まれていった。物干し竿が落下していく。避雷針が落下していく。ベランダが砕けてコバルトブルーのタイルがばらばらに散って、まるで星屑が地上に降っているようできれいだった。下に誰も居ないといいな。当たったら死んじゃうだろうから。窓の外に夜空、東京の夜空、アスファルトの夜空が固く上へ伸びていっている。東京の空には星が見えないんじゃなくて東京の空には星が、無いんだよわかるか。夜空は寒かった。山のさ標高の高いところ、行くと寒いじゃん、そういうことなんじゃないかな。山登ったことないんだけど。ついでに飛行機乗ったみたいに耳が痛いけど、これはつばを飲み込んだらすぐ治った。経験がものを言うんだね。何事も。と、わたしはすべてを理解したと同時にそのすべてでふるえた。肌があわ立って、ふるえた。すべてによる振動が空気をふるわせてへんな波が、水色と紺色の混ざったへんな波が、部屋中を駆け巡ってそれで、部屋の屋根が壁が床がふっ飛んでどっか消えてった。冷めた夕食もその勢いでぽーんと消えたけどこれは、遠くで星になった。冷たい星になった。ふるえている。青いティーシャツとパンツだけでこんな夜空の中ひとり、わたし笑った。寒かった。

2014年9月16日

「祝祭日のテーマ」

俺はマルボーロに火をつけて食べた。
駅前の寿司屋から女が叫びながら出て来て
パトカーのサイレン、狂騒が
からからに乾からびてぱりぱり
剥がれ落ちていった。
コカ・コーラの自販機
の隣にコンドームの自販機
の隣にポップコーンの自販機
が置いてあって俺は、ますます
マルボーロに火をつけて
ますますマルボーロに火を
マルボーロ、火をますます、マルボーロ、につけて
食べる、火をマルボーロに食べる火を、つけてマルボーロ。
風呂屋でルー・リードが歌っていたんだ。
歯を磨きながらそれを聴いていたんだ。
あしたもう間に合わないから俺は
歯を磨きながらルー・リードについて考えていたんだ。
誰かがどんどん透明になっていく中で
洗われて黄色い桶、死なないで欲しかったんだろう、と
くぐった暖簾は灰色にたなびいていて、どうして
こんな月の晩に人が死ぬんだ。
無関係だったろう、その闇の中心で。
無感情だったろう、その闇の中心で。
早く拾い集めろよ、月から落っこちてくるゴミ屑、おまえが早く
拾い集めろよ、月から落っこちてくる、おまえが、ゴミ屑を早く
マルボーロを食って死ねよ。





「グレープフルーツ」

泣かないようにしたい。
焦げたカラメル色のまだらな鞄を持ってわたし、
想像しないようにしたい。
ゆっくり音楽が鳴っていた。
嗄れ声の男が、夢を見るときだけは無垢なのだと歌っているのが
きこえた。
ピアノの伴奏に合わせて体中の想像が
踊りだす。どこにも行かないんだってね、
きいたよ。
あなたは服を脱いだ。わたし、
それを見なかった。